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舟橋聖一記念文庫
舟橋聖一記念文庫は、昭和51年1月13日に死去された、彦根市名誉市民である作家・舟橋聖一氏の蔵書のすべて約38,700点が、遺族から彦根市に寄贈され、同年7月20日、開設されたものです。


《舟橋聖一 略歴》
  明治37年、東京に生まれる。水戸高校時代から文学に傾倒、東京帝国大学国文科在学中、村山知義・河原崎長十郎らと劇団「心座」を結成し、新劇活動に没頭した。
 卒業後、明治大学で教鞭をとりつつ「文芸都市」「近代生活」等の同人に参加。
処女出版は、昭和5年の戯曲集『愛慾の一匙』である。
  昭和9年には雑誌「行動」に『ダイヴィング』を発表、行動主義を提唱し反響を呼び、翌年「文学界」の同人となった。戦時中『悉皆屋康吉』を脱稿し、 作家的地位を不動のものとした。
  戦後、昭和27年から10年間書き続けた「夏子もの」では、日本の季節感を濃淡鮮やかに描き、昭和39年『ある女の遠景』で毎日芸術賞を受賞した。
 同年6月、開国の英雄・井伊大老を描いた『花の生涯』創作の功績により、彦根市名誉市民第1号に迎えられ、昭和41年には日本芸術院会員となった。
  この頃から眼を患い、不自由な口述筆記で完成した『好きな女の胸飾り』で昭和42年度の野間文芸賞を受賞。
また、昭和50年には、文化功労者に推載されたが、翌年1月13日急性心筋梗塞により、71歳の生涯を閉じた。



《所蔵資料について》

 ・図書(約17,500冊)

     辞書・事典類は、大百科事典・古事類苑をはじめ文学・国語・演劇・歴史関係など、舟橋文学の源泉ともなった基本参考図書が実に豊富で、150種・350冊を数える。
   双書・全集類は、群書類従・史籍集覧・故実叢書のほか、歴史・古典文学・近代文学に関するものや、現代作家の個人全集など、  280種・5,500冊が揃う。
   単行本は、歴史・風俗・演劇・国文学関係のほか、作家の贈呈サインが
多い現代日本小説などが12,000冊、中でも舟橋氏の全著作や、
   歌舞伎・新劇・文学史関係の集書が目をひく。
 

・逐次刊行物

 総合・文芸・婦人雑誌など110種・8,400冊のほか、特に大正末期から昭和初期、さらに戦中・戦後に及ぶ期間の文芸同人誌 280種・5,200冊の貴重な資料がある。
 また、演劇・相撲・競馬など、故人と関わりが深いもの2,500冊、その他1,300冊が集められている。


・その他

 文筆活動50年間の総合スクラップブック340冊は、文壇・出版・演劇・相撲など、内容が多岐にわたり、各界50年の歩みをつぶさに辿ることができる。
 また、自作品の切抜帖・各種台本・記録アルバムなど1,710冊と共に、原稿控ノート150冊や校正ゲラ200点などが保存されているほか、芝居の演目筋書集、相撲の番付表・星取表など5,600点の特殊資料がある。


《花の生涯記念碑》
  

   彦根城の北側、金亀公園内に昭和39年10月25日に建立された。
 井伊直弼公の銅像と共に目をひく格調ある石碑。
 故舟橋聖一氏の名作『花の生涯』によって、直弼公の功績が広く人々に再評価された。

 

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